川路利良の邸宅跡は、日本の近代警察の礎を築いた「日本警察の父」と呼ばれる彼の足跡を偲ぶ上で非常に重要な場所です。現在、その場所は警視庁下谷警察署(東京都台東区東上野3丁目15番地)の敷地内にあります。
歴史的背景と場所の選定
明治維新後、東京に拠点を移した川路利良は、新しい日本の治安維持体制を構築する大役を担いました。その私邸として選ばれたのが、かつて美濃大垣藩戸田家の下屋敷があった広大な敷地でした。

  • 広大な敷地: この戸田家下屋敷は非常に広大で、その半分にあたる約1万5千坪(現在の東京ドーム約1個分に相当)もの敷地が川路利良の私邸となりました。
  • 場所の重要性: 下谷のこの地域は、江戸時代から交通の要衝であり、また吉原にも近い場所でした。明治維新後、旧大名や旗本の屋敷が払い下げられる中で、川路は自邸としてこの地を得たと考えられています。

現在の様子と石碑

現在の下谷警察署の庁舎が建つ敷地内に、川路利良の邸宅跡を示す石碑が建立されています。この石碑は、彼がここに住み、近代警察の理念を練り、日々の激務にあたっていたことを今に伝えています。

現在の下谷警察署の庁舎が建つ敷地内に、川路利良の邸宅跡を示す石碑が建立されています。この石碑は、彼がここに住み、近代警察の理念を練り、日々の激務にあたっていたことを今に伝えています。
下谷警察署の敷地は、幹線道路である国際通りに面しており、周辺は現在、マンションやビルが立ち並ぶ都市部となっていますが、その歴史的な重みを感じさせる場所です。
なぜこの場所が重要なのか

  • この地が日本の警察史における重要な舞台の一つであったことを思い起こすことができます。
  • 日本警察の原点: 川路利良は、この邸宅から警視庁へ通い、フランスの警察制度を参考にしながら、日本の実情に合わせた警察組織、規律、訓練方法などを確立していきました。彼の自宅は、まさに日本の近代警察が形成される過程を見守った場所と言えるでしょう。
  • 歴史の証人: 広大な大名屋敷が、明治維新を経て、新政府の要人の私邸となり、やがて公共施設(警察署)へと変遷していく過程を象徴する場所でもあります。
  • 思想と行動の拠点: 川路利良は、常に「警察は国民の安全と安心を守る奉仕者である」という信念を持ち、その精神が邸宅での日常にも反映されていたと推測されます。
  • 一般の観光客が敷地内を自由に見て回ることは難しいかもしれませんが、警視庁下谷警察署の前を通る際に、この地が日本の警察史における重要な舞台の一つであったことを思い起こすことができます。

川路利良の邸宅跡(下谷警察署の庁舎が建つ敷地内)

所在地: 〒110-0004 東京都台東区下谷3丁目15−9